***チャンピオン ***

さかのぼる事16年、90年当時すごく色々なアルバイトをしていました
基本は2交代でホンダの鈴鹿工場に入り、逆のシフトの開いた時間を別のアルバイトをし、
土日はサーキットでコースマーシャルをしていました
夜はガレージでメンテナンスをやっていて、とにかく毎日眠い眠い、、、、
信号待ちで仮眠、移動中に仮眠、練習走行前後に仮眠と、当時常にどこでも寝ていました
どうして一日は24時間なのだろうと、真剣に考えていました
生活費は1万円を目標にし、ほとんど稼いだ給料は練習走行、ガソリン、パーツに使っていました
行くとこまで行ってお金が足りなくなったら練習は次の給料までお休み、みたいにレースにどっぷり
浸かっていました
目指していたのは4耐とチャンピオンレースの2つ
それも恐れ多くもトップ争いをして、翌年は特別昇格をしてIAで走る!!みたいな事を考えていました
(予選も通ってないんですけどね、、、)
得意なコーナーではガンガン行けるのですが、苦手なコーナーではおっとっと、、みたいな感じでした
一番好きなコーナーはデグナー2個目を立ち上がって、ヘアピンに進入するまでの間は全開で、突っ込み
までは気持ちよく走れていました
当時HRCの走行会で、青木拓磨選手と若井選手がバトルしていて、後ろを必死について行ったのですが、
さすが天才ライダー2名、どんどん離れて行ってしまいました
しかし、上手なライダーの後ろを走るのって本当に勉強になります
鈴鹿GPに出場前の上田選手、高田選手の後ろを走ったときも、こっちはまさに必死で走っている
つもりですが、向こうは伏せもせず、流していました、、当然あっという間に見えなくなりましたが、、
すごいですねGPライダーって、異次元を走っていますよ!!
(私が異次元を走っていたかも??)
4耐はチャンスが無く、3年目まで予選も通りませんでしたが、諦めず頑張っていました
4年目に入り、何だかコースにも慣れ、そこそこ走れる様になりました
当時大阪のミスターヒロさんが予選不通過者対象にブロンズカップなるものをスタートしてくれ、
4年目に入る前に出場しました
何が何でも今年は昇格するんだと(特別昇格はすでに諦めていました)気合を入れていましたので
予選から本気モードで全開です
南コースのセッティングはバッチリなので、いい感じで予選も進み、楽しみに結果を待ちました
ちょっと気になる走りでしたが、1列目は行っただろうと、予選結果を見に行きました
予選は2列目、「くっそー、今いちだな、、」と反省しました
結果も予選と同じ位で、まだまだ未熟だなと思いましたが、タイム的にはトップとあまり変わらなかった
ので、やる気がメラメラ出ていました
その後も練習で転倒が続き、修理して走り、走っては転び、修理しては走りの繰り返しでした
フルコース前のHRC走行会で、何か今日は行ける!!という自信があり、やる気満々でコースINしました
タイヤをヘヤピン先まで温めて、スプーン立ち上がりから全開走行に入ろうと思っていました
スプーンに行くまでもガンガン250も抜いていて(こちらは125です)、さあ今日は調子いいぞ!!
と気合全開でスプーンを立ち上がり、130Rの突っ込みでも1台250を抜き、クリップに付こうとした
瞬間、「ずるっ」「うわっ何???」「ザザザァー」
と100mくらい滑って行き、滑っている途中で路面に手が付き、「熱い熱い」と思っていました
「バイクは何処?」と探すと、遠くにバラバラになった物体が見えました、、、、
とりあえずバイクの所に行くまでにカウルと部品の破片を冷静に「もったいない、もったいない」
と拾って、バイクに辿り着くと、見積もり30万くらい掛かりそうな部品取り車が転がっていました

もちろんエントリーしていたレースは出れず、また次の日からアルバイト漬けの毎日が始まりました

もう引き際なのかな、、と思い、誰からも惜しまれずに(数多くの友人からは悲しがられましたが)
鈴鹿のアパートを引き払い、九州の実家に戻りました
その後MINEサーキット、SPA直入などのレースに出ましたが、一桁でレースを終えてもモチベーション
を保てず、結局レースを辞める事にしました
モチベーション無しで走る事がどれほど危険か分かっていましたし、毎回転倒するまで熱く走ってしまっていたので、精神的にもきつい状態でした

その後1年以上バイクには乗らず、仕事に付き、仕事を覚え、レースと同じ様に一生懸命働き、
転職し今の会社に10年以上勤めています

プロのレーサーにはなれませんでしたが、沢山の友人と沢山の友情、沢山の大切な事を学びました
今の仕事でもそれは生きています
私のレース暦は散々たる物でしたが、自分の選んだ道に間違いは無かったと思っています
なんてレースは面白いものだろうとおもいますし、バラバラの金属の塊をくみ上げるとエンジンが
掛かり、超スピードではしる事ができます

加速G、減速G、S字、シケインの切り替えし、マッチャンコーナーからスプーン進入に景色が斜め
のままフル加速して行く気持ちよさ、バックストレートを6速に上げ、吹け切る瞬間、、、、

レースは本当に素晴らしい世界を見せてくれます
今は休みも満足に取れない状況になってしまい、美祢サーキットも無くなり、レースが離れて行って
いますが、スポーツ走行はまた機会があれば走りたいと思っています

今もレースをやっている方は本当に素晴らしいと思います
お体に気をつけて頑張って下さい

次回からはレースブームを盛り上げたライダー、スポンサーについてお話したいと思います